アニメのキャラは実在する！信じ込んでいた幼少期

生まれは愛知県刈谷市なのですが、父の仕事の関係で、
パナマ→プエルトリコ→ブラジルと、合わせて約１０年、海外に住んでいました。
日本から遠く離れた地での楽しみは、母国から送られてくる絵本、漫画、ゲーム、アニメなどのビデオでした。

インターネットが普及していませんでしたから、海外生活は情報不足。
幼い私は、実写のドラマやニュースのようにアニメを楽しんでいました。
「世界のどこかで彼らは地球のために戦っている」と本気で信じこむほどに。

文字を覚えた頃、どこかで生きていると信じていた「人物」は「キャラクター」で
命を感じていた「声」は「声優」によって吹き込まれていたのだと知りました。

「声優」という仕事に興味を持ち、調べてみると…

全くイメージの違う役を、同じ声優さんが演じ分けていたり

中には、既にこの世を去っている方も…

それでもアニメの世界でありありと生き、
自分の心の中で老いることなく輝き続けているという素晴らしさに
幼い心が震えたことを今でも覚えています。

声は、性別も 種も 時間も 時代も 空間をも超える。

「声ってすごい！声って面白い！」
声のもつ無限の可能性に大いに感動し、

「私もいつか、誰かの心に残る、誰かに寄り添う、声の仕事がしたい」
そんな大きな目標が出来た瞬間でした。

メディア経験ゼロの舞台俳優→声を買われてアナウンサーへ

「いつかは声の仕事につきたい！そのためには何をしよう…」と考えた末、
大学では心理学を学び、部活動は演劇部を選択。
アルバイトは「身体作りと表現力が磨けて一石二鳥！」とスーツアクターを迷わず選択。

大学卒業後も一般企業で契約社員として勤めながら、名古屋のタレント事務所に所属。
演劇活動や歌、ダンス、殺陣などに打ち込みました。

舞台では最初に声を発する（口火を切る）役が多く、
男女の判別がつかないような中性的な役所が多かったように思います。
女性に恋をする役もいくつか。猪八戒やウサギの役も楽しく演じました。
「一人称が『僕』でも違和感のない役者」と言って頂けたことが
今でも嬉しく心に灯ります。

演技や表現に夢中になっていたら、ひょんなご縁で中京テレビの契約アナウンサーに。
採用のきっかけは「少年のように中性的で低めの声が面白いから」
メディア経験ゼロの柏田を声一本で起用した当時のアナウンス部長は、今考えても無双。笑

こうして、幼い頃からの念願だった「声の仕事」に携わるように。
しかしそれは夢が叶った瞬間でもあり、答えのない迷宮の入り口でもありました。

視聴者にバトンを渡すアンカーとして

アナウンサーとはいえ声を買われての採用。在籍７年半の主な勤務は、ナレーションでした。
バラエティー、CM、イベントMC、ボイスオーバー…多種多様な現場で経験を積ませていただきました。

中でも特に難しかったのは、ニュースやドキュメンタリー。
平日夕方の３時間生放送の報道・情報番組では、
ニュース、特集、エンタメ情報などをスタジオの傍らで生読みを週５で担当。

原稿で文字になるまでの年月、載せきれない事実、伝えたい想い…
その全てを受け取り、映像・音楽に合わせ、時間内に納まるように声を載せる。
ときには第三者として淡々と、ときには代弁者として感情を添えて…
責任の重大さに押しつぶされそうになることもありました。

そのときの自分に出来るベストをいくら尽くしても
「この表現でよかったのか」「この声で伝わったのか」
自問自答しても、答えの出ない日々。（まあこの問答は一生続くと思いますが・笑）

映像作品を製作する過程の一番最後を彩る「ナレーター」として、少しでも作品のイメージに沿いたい。
そのために映像に至るまでの経緯を出来るだけ取材担当者に聞くなど、
作品を理解し、登場人物に寄り添うことを大切にしてきました。

また、自分の読みやすさを優先して、文章のもつ意味合いを自分勝手に崩さないことを
自分の中で厳しくルールづけて毎回の現場に臨みました。

表現の世界に明確な「答え」はなくても、現場には「応え」がある。
何度も何度も同じ映像と同じ原稿を見ているスタッフさんから
「イメージ通り！」「想像を超えてきた！」「仕上げてくれてありがとう」
と笑顔を受け取るときが、迷いながらもここまで歩いてきてよかったと思える、私の何よりのやり甲斐です。

そんな日々を送るうち、
光栄なことに、スタッフから「七色の声」と称されるように。

それは、単純にたくさんの声色を駆使しているからという理由ではなく、
映像・音楽・登場人物の喜怒哀楽やシーンに合わせて声のトーンを調節し、
作品全体のイメージをスタッフさんと一緒に構築・共有、
登場人物に、視聴者に寄り添うことを意識してきた、私の想いを汲み取っての言葉だと思っています。

今でも「七色の声」とお褒めいただくたびに、
私のナレーションへの姿勢を見守り、評してくださったのだと嬉しくなると共に、
これからも喜んでもらえる働きが出来る自分でありたいと身が引き締まる想いが湧いてきます。

声の仕事が好き！声で人に喜んでもらえることが嬉しい！
幅広い分野でこの声を役立てて行きたい！そんな想いで
７年半勤めた中京テレビを卒業し、2016年春から活動拠点を名古屋から東京へ。

以来、バラエティ、CM、VP、ドキュメンタリー、WEB動画、
映画やドラマでのニュース読みなど、様々な現場や人との出会いに恵まれました。
顔を出しての出演はアナウンサー時代よりも増えたかもしれません！笑
これまでの経験を活かした、新しい体験に刺激を受ける日々。
まだまだ成長出来る！そんな予感にワクワクしています。

声が繋ぎ、声が結ぶご縁でここまで来ました。

次はどんなご縁に恵まれるのでしょうか？
声で、あなたのお手伝いをさせてください。

素敵なご縁で、あなたの元まで私の声が届きますように。